アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』に登場する本読み少女、長門有希さんが劇中なにを読んでいるのかを調査・検証する。
では第8話『孤島症候群(後編)』から。

前編の回想シーン。 これはピーター・アントニイ『衣装戸棚の女』。
いただいたコメントによればこれも文脈に沿った選択である、とのこと。

んーこれはちょっとわからない。 表紙は水色一色にしか見えず、タイトルは読めそうで読めず……。
情報待ち。 「これじゃね?」という書籍をご存じのかたはご一報を。
各話の検証はこちら。
関連。
そういや明日は巨大隕石が地球に衝突する日だった。
みなさま、よい終末を。
俺たちのころは1999年に恐怖の大王がやってくることが決まってて、鉄板で世界は終わることになってたんだけど、最近の子らはどうやって世界の終わりを夢見てんのかね。 ちょっと、大変かもしれないね。 健闘を祈ります。
C U Next Week!
以下、オススメの世界の終わり。
お風呂がわくまでのあいだ手持ちぶさただったので、ちょっと前に話題になった「じっとあなたを見続けるドラゴン」を作ってみる。
PDFを印刷して、ハサミで切って、ノリかセロテープがあると吉。 10分ぐらいで完成。

おーっ、こっち見てるこっち見てる。 実物をためつすがめつするよりは、自分のケータイで撮影した動画を鑑賞した方が感動が大きい、というのが発見。 二次元の視覚情報の方が、脳が錯覚しやすいのかしら? (いや、アニメの話じゃないですよ?)
作り方はこちら。
金曜の夜は今週読んだ本を淡々と記録するよ。
・ジョナサン・キャロル『蜂の巣にキス』 [bk1][amazon]
以下、書誌データ。
宇仁田ゆみ『うさぎドロップ』1巻 [bk1][amazon]
死んだ祖父には隠し子がいた!? 三十路男、幼子をあずかる。
6歳の女の子を育て、ともに暮らしていくなかで、主人公の三十路男が次々と「子どもを育てる人」の眼差しを獲得していくさまがすごい好ましかった。
子育てとは、子を育てる人々が織り成す社会に新たに参入することなのだ。 たぶん。
なんちて。
三十路男の祖父が大往生。 ひさしぶりに実家に帰ると、そこには見知らぬ女の子がいた。 聞けばその子は爺さんの隠し子で、つまりは三十路男の叔母(6歳の叔母!) なんぞ事情があるものか、母親は失踪して居らず、女の子は天涯孤独の身。 親族一同が集うゴタゴタのなかで女の子が露骨に厄介もの扱いされるのに厭いた三十路男は、勢い余って女の子を引き取ることにする。
りん! こんなろくでもねートコ
子どもが いるトコじゃ ねーぞォ
おれんち 来るかァ?
かくしてはじまる三十路男と6歳の女の子のヒビと生活。
子育て漫画のうちに入るのかしら。
6歳の女の子を育て、ともに暮らしていくなかで、主人公の三十路男が次々と「子どもを育てる人」の眼差しを獲得していくさまがすごい好ましい。
三十路男は働いてるから、仕事してる間、りんを保育所に預けなければいけない。 預けるなら朝は一緒にでて、帰りは迎えに行かなくちゃならない。 そこで通勤ラッシュのキツさと、今の自分の仕事の忙しさに気づく。 りんを抱っこしなくちゃいけないから、かばんはショルダーに変えた。 りんの前でタバコは吸えない、禁煙もできそうだ。 テレビも気を使う。 この世は死と恐怖とエロスとヴァイオレンスに満ち溢れている。 まだいまは、りんにそれを触れさせてはならない。 死は自分にも近づいてきている。 自分はもうそれほど若くもないことも知っている。 もし自分に万が一のことがあれば、りんはまたも一人残されることになるだろう。 保険でも入っておくか? いやでも絶対死なねぇよ俺。 ダイジョブ。 (でも、もし万がいちがあれば?) 男は自嘲気味にニヤ笑うしかない。
まさに 保険だ…
なんで好ましいかっていうと、無造作に、一人の強さと無思慮のなかで生きてきた男が、小さい女の子を育てながら、弱さとか弱き他人への配慮をものすごい勢いで身に付けていくから。 今までのそいつにはぜったいに身につかなかっただろう知見を、つぎつぎと身につけていくから。
忙しすぎる仕事のこと。 着実に老いてきている自分の体のこと。 若さに頼って無理と不摂生を繰り返してきた自分の生活のこと。 遅くまで預けられる保育所が遠くに、しかも数箇所にしかことを許しておくこの社会のこと。
これまでに子どもを育てるという大事業をなし遂げてきた父、母のこと。
いままさに子どもを育てるという大事業をなしている、父、母である人たちのこと。
一人で子どもを育てるということ。
家族が子どもを育てるということ。
子育てとはおそらく、子を育てる人々が織り成す社会に参入することなのだ、ということ。
その気づきっぷりというか、
皮のむけっぷり、
首のむけっぷりが、
俺にはたいへん好ましく思えた。
この三十路男がそろそろ俺と同年代で、まさしく俺が、一人で生きる無造作と強さと無思慮のまっただなかに生きていることを自覚しているので、俺には(まだ?けして?)訪れないだろう気づきに気づいているこいつが、ちょっと羨ましくもあります。
「母子家庭」の平均年収が212万だ、とかいうリアルのニュースにう〜んと思いながらも。 この三十路男の子育てとりんの子育てられがいったいどこに向うのか楽しみなマンガであります。
子育てなぁ……。 まぁまったくリアルではないな。 いまの己にとっては。
ただ、世にはそのようなものがあるぜ! そんでそれはどう考えても大事業だ。
ってことは記憶しておきます。
こちらは家族で子育て。 『よにんぐらし』
男にとって子育てとはなにか?
……いや、なんだんだ? マジで。
今号の月刊アフタヌーン(2006年7月号)は買ったほうがいい。 なぜなら2006年春の四季賞受賞作、前邑恭之介『CURE −キュア−』が凄いから。
「誰にも起こりえる、些細だけど決定的な一大事」
その詳細の描写がすごい。 もう絶叫したくなるくらいに。
この人、こんなことを第一作目でこれだけ雄弁に語って、この後まだ語り描くことが残ってるのかしら?
でも、これが描けるんだったら、それはそれでいい。 これで消えても、ここから始まっても、それはどちらも善だ
そう思うくらい、直球で胸に響いてくるマンガ。 面白かった。

高校生が交通事故で大怪我して、入院する。 それだけの話。 けど、すごい。
「誰にも起こりえる、些細だけど決定的な一大事」。 その詳細の描写がすごい。
もう絶叫したくなるくらいに。
やだやだやだ、絶対にこうはなりたくない。 でも、それは起こりえる。 ただの交通事故。 いくらでも起こってる。 交番にある「今日の事故数」あるいは「死者」の欄に投げ入れられた「1」というナンバープレートの、その内実。
考えるまでもなく(←ここ大事)この世に生きてるのは生きている連中だけで、でも、俺たちはしごく簡単に生きていない連中に仲間入りしうる。 そういうことがヒシヒシと迫ってくる。 怖い。 いやだ。 俺の身に起きてほしくないし、俺の好きな人々にも、誰の身の上にも、起きてほしくない。 そういう事柄。
けど、それは起こってしまって。
少年が病院で独り見る闇夜の暗いこと暗いこと。
少年が病院で独り聞く誰かの絶叫の不気味なこと不安なこと。
そして少年の身に刻まれた傷の、惨たらしいこと惨たらしいこと。
面白いのは、そこからだってちゃんと帰ってこれちゃうんだぜ? ってことを描くことだと思う。
人間の身体ってけっこう丈夫で適当で、平気でくっついちゃったりおおいかくしたりでわりとO.K. 駄目なとこは駄目なりにカバー。 それを補佐する医学なる技術もあきれかえるくらいタフであきらめが悪くて。 奴ら、切った貼ったでなんでもやりやがるのな? 笑っちゃうよ。
小僧、今回はちょっと運が足りなかったな? でも、命あってのものダネっていうし! 君にはまだそれがある。 君はまだ(いや、もう?)温かい。 続行! 命、続行! ぐらいのフランクさで平気で半死人をこの世に蹴飛ばしやがるなこのマンガ。 なんだそりゃ? いや、それがいいんだが。
とかなんとか。
この人、こんなことを第一作目で雄弁に雄弁に語って、この後まだ語り描くことが残ってるのかしら?(でも、これが描けるんだったら、それはそれでいい。 これで消えても、ここから始まっても、それはどちらも善だ) と思うくらい直球で胸に響いてくるマンガ。 面白かった。
アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』に登場する本読み少女、長門有希さんが劇中なにを読んでいるのかを調査・検証する。
では第9話 『サムデイ イン ザ レイン』から。
初のTVアニメオリジナルエピソード。 長門有希、部室で本を読む。

今回は書名が見え見えなので超簡単。
一冊目が阿部和重『グランド・フィナーレ』。 二冊目が綿矢りさ『蹴りたい背中』。
阿部和重『グランド・フィナーレ』が第132回芥川賞受賞作。 綿矢りさ『蹴りたい背中』が第130回芥川賞受賞作。 長門さん的には芥川賞受賞作祭りが行われていたご様子。 第131回芥川賞受賞作、モブ・ノリオ『介護入門』が抜けているので、この二冊のあいだにあったのかも知れない。
ただし、阿部和重『グランド・フィナーレ』の左隣にある本と、綿矢りさ『蹴りたい背中』の右隣にある本が特定できないのはちょっとくやしい。

阿部和重『グランド・フィナーレ』の左隣にあるのは早川書房の『世界SF全集』の飾箱から出されたもの、だとわかるので(→参考)、長門有希の100冊と付き合わせるとロバート・A・ハインラインの作品がおさめられた『世界SF全集12』じゃないかな? という気はする。
綿矢りさ『蹴りたい背中』の右隣にある本は、小さなマークに見覚えがあるように思えるので早川文庫の海外SFのなにかかも……。 確証はないけれど。
今回特筆すべきは長門さんの読書スピードだろう。

長門さんが延々本を読み続けるマニア垂涎のこのシーン(手遅れ)。 ここで読んでいるのはおそらく綿矢りさ『蹴りたい背中』だけど、それを彼女は約190秒のあいだに30頁程度読み進んでいる(約190秒のあいだに17回頁をめくっている?) いま『蹴りたい背中』が手元にないので分あたりの文字数はわからないが、相当に速いのではないだろうか? Amazonの書誌情報を参照すると『蹴りたい背中』は140頁しかない。 彼女はこれを15分程度で読み切ってしまうことになるのだが……やー、さすがだ、長門さん。 かなわんよ。 速いのなんの。
→参考 読書速度測定
(たぶん長門さんは2000文字/分オーバー。 3000文字程度? あるいはそれ以上?)
各話の検証はこちら。
関連。
『GET DOWN』以来、ほぼ2年ぶりの橋本みつるの新刊。 作品集。
以上4本を収録。
表題作『青いドライヴ』が傑作。
ねぇ、これなんてマジックリアリズム?
表題作『青いドライヴ』がすごく良い。
幽霊譚。 高校生の女の子が主人公で、クラスの男子に告白された夜、中学のとき初めて付きあった人が車に乗ってやって来る。 ただし、彼は3年前に事故で死んでいるんだけど。
もう二度と会えないと思っていた人に会えたよろこびと、こんなのおかしい、という混乱。 そのなかで、なんとか気持ちを(なにかを?)伝えようとする二人のお話。
まったくもってありえないアンリアルな状況のなかで、まったくもって実直な心情をつみかさねていく登場人物たちのことばとおこないがひどく胸に沁みる。 呟かれる台詞。 「あぁ、そうだ。 そうかも知れない」と唐突にわきだしてくる共感の不思議。 橋本みつるのマンガを読むたびに感じる、唯一無二の経験であると思う。
ユーレイの男の子が、自分が飲んだジュースがいったいどこにいくのか、それがわかんなくて呆然と呟やく。
わかんない
………
おっかねー
何処
消えんだろ
「青いドライヴ」
なぜか切なくなる。 そんな顔すんなよ。 君が悪いわけじゃないよ。
アンリアルな状況のなかにふりつもっていく、実直な心と、ことばと、おこないたち。
なぜ? とか どうして? とか じゃあどうすればよかった? とか 無力な疑問たちをやさしくおきざりにしながら閉じていく物語。
なんなんだろう? これは?
橋本みつるのマンガを読むのは唯一無二の経験であると思う。
それは読むたびに思う。
以下、既刊情報。 一切の外れなし。
しかし、橋本みつる描く女子ってば妙にエロいっつうかセクシーだったりする。 やたら目がデカかったりムボービそうだったり情動をコントロールできてなくて危うそうだったり動きが無愛想だったりするからかもしれないけど。
で、そんな女の子にフォーリンラブっちゃう男の子がはく台詞がこんなだったりすると見透かされているようでちょっと参る。
急にビンボーな
スケベ心が起きた
としか思えない
「流星」
「ビンボーなスケベ心」。
この人が描く「人の手」 けして上手くはないけど、人の感情を引っ掛けやすいような、どこか目を離せないような危うさをもった「人の手」を描くなぁ、といま気づいた。
帰り際
なっちゃんは
ちょっと
手をあげた
それだけだ
「苺の夢」
それだけだ。
昨日はみんなが大好きなボンクラマンガの雄、DMCこと『デトロイト・メタル・シティ』の単行本発売日だったのでもちろん買いに走ったわけですが。 なんか池袋のジュンク堂地下では売り切れてましたよ? もしかして大人気? どうなってんだこの国は。
いや、そんなことが起こりえるのは池袋のジュンク堂地下だけなんだろうか? (そのあとリブロに行ったらフツーに山積みになってたので、まぁそうなんだろうな……)
もう……みんなSATSUGAIされちゃえばいいのに……。
弐瓶勉『アバラ』 [bk1][amazon][bk1][amazon]
『バイオメガ』以来久しぶりの弐瓶勉の新刊。 オビの惹句に曰く
47,335,389秒ぶりの新刊!!
だそうで。 ああ、そういえばそんなにコミックスでてなかったっけ?
ヒトの目では捉えられぬスピードで人間を殺戮、捕食する白い怪物“
白奇居子 ”。駆動電次 はその怪物と対峙できる唯一の存在“黒奇居子 ”だった!!
なるほど、つまりあなたはこう言いたいわけだ。 「仮面ライダーカブト」と。
弐瓶勉描く変身ヒーローもの。 変身時の擬音はもちろん「バギン」。
変身ヒーローもの。 変身ヒーローっても弐瓶勉の本質に変化はなく。 謎の超巨大建築物郡を舞台に、黒くて硬くて(出力が)デカい奴らがバギンバギン暴れ回るステキマンガでした。
ヒーローモードになると人間の目には映らないくらいの超スピードにクロックアップされるそうなんですが、マンガ読んでいるときはそうと気づかず。 読み終わってから裏表紙のあらすじ読んで気がついてもう一回読み直した。
「そうか、擬音か」
読んでいる最中、なんか違和感があることだけは認識してたんだけど読み直して気づいた。
擬音だ。
マンガでは劇中、発声以外のなんらかの音がでているときはオノマトペ(擬音語、擬態語)を描き文字として描くことでそれを表現するわけだけれども、この『アバラ』ではヒーローモードの超高速駆動をオノマトペで表現していた。 端正な活字で描かれたオノマトペ。 バゴォ ドゴオオオオオ ビュッ ゴッ ゴッ
ヒーローとその敵役の化け物どもは、音よりも早く動いているのだから、そこで音(物理的な空気の振動)が生じても、音として機能しない(空気の振動が人間の耳に入って「音」として認識されない)。 その瞬間は誰一人として「聞く」ことがない。 が、たしかに生じているはずの劇的な動き。 炸裂する力の表象。 それを表現するために、このマンガでは活字を利用していた。 それが平時に描かれる音(こちらはちゃんと手書きの描き文字で描かれている。)となんの説明もなく混在することによって、なんともいいがたい奇妙な違和感のあるマンガなっている。 それは、読んでて面白かった。

ただし
わかんねえ! 理解できない! このマンガ! 一切の説明なしのコワモテさは弐瓶勉の魅力でもあるんだけど、このマンガに関して云えば情報不足すぎだったと感じる。 説明不足・情報不足によって、いくら読んでもラストが理解できないマンガなんて久しぶりだ! このラストはぜんぜん理解できてない! なんだこれ?! 悔しい!
『バイオメガ』のほうはずいぶんとわかりやすかったんだけどなぁ。 むしろ『バイオメガ』の続きを楽しみにしつつ。 まぁこれはこれで。
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これじゃないっすかね
表紙がみずいろと海以外つながりはなさそうですが
がせだったすみません
うーん、難しい。
新潮社のヘルマン・ヘッセの本が見た目はよく似ています。
が、決定打ではありません…。タイトルの位置が微妙に違いますし。
いままでの再現度でいけば、これだってのがあると思うのですが…。
恐らく同じ本でしょう。
(もちろん書名は分かりません(笑))
でも一文字目と三文字目がどうにも・・・。
今回の内容とかけてこれではないかと。
表紙が水色かどうかはわかりませんが、1文字目は部首にりっとうのある漢字、2文字目は平仮名の"と"っぽく見えましたので…
にしても表紙が水色かどうかもわからん上に1986年7月とは! ……探すか〜。探しますよ。ええ。
関係ないですが俺の中では長門さんはあそこで
清原なつの『空の色 水の青』を読んでることになってます。嘘。妄想です。
http://www.tinami.com/x/girlscomic/kiyohara-natsuno/img/pic3.gif
でも……カバーが付いてなかったので真偽はわかりませんでした!(だめじゃん)
ただ、これハードカバーなんですよ。
アニメでは表紙が少し反っているように見えるのが気になるところ。
どうでもいいんですが検索だと1986年だったのに実際の発行日は昭和45年。
違うバージョンだったりしないよな?とちょっと不安です。
どうも何版かあるっぽいです。
おおおお……どれを探せば…… orz
そ・れ・だ・ー!
たしかに表紙は薄水色に大きめの文字(ズルイ! 文字回転してるじゃん!)。
おしゃるとおり、文脈的にも「症候群」つながりで間違いないでしょう。
ここで長門さんが読んでいるのは貫井徳郎さんの『誘拐症候群』! それだ!
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4787585088/cax-22/ref=nosim
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