読みマンガメモ。
川原泉 『ブレーメンII』5巻 (白泉社,¥650) [bk1][amazon]

バイオテクノロジーによって知性化された動物たちと、のほほんだけどもシメるときゃシメる船長・キラたちの宇宙の船旅物語もひとまずこれにて完。
川原泉、っつう存在がそもそもそうなのかもしれないけど、良い意味でヘンなシリーズだったなぁ。
全編にわたって、へにゃ〜っとのほほ〜んとしているようにみえて、そのじつ、理知と勇気、そして善意は宇宙を救う! いや救いはしねえだろうけど、少なくともちょっとはマシにする! っちゅう姿勢は貫かれてたりするし。 知性化された動物たちっつうかおとぎ話の「どうぶつさんたち」が活躍するような絵ヅラだし。 他にも落書きみたいな謎の存在、グレーとか、歩き回る木、とかもでてきてたっけな。 あーもう、なんつーか宇宙メルヘン? 宇宙童話ですか? 絵ヅラだけみると。 そのわりにシリアスでもあったりするんだよ、動物たちに対する差別とか、知性化された動物が人類を呪い復讐を企てるとか。 その落差に、う〜ん、ヘンだ〜。 とかずっと思っていたことですよ。
雰囲気のほにゃほにゃ感と登場人物の有能さ、それと基本姿勢が貫かれている点において、読後感は『メイプル戦記』に近かったかも知れないな〜と思う。 描かれている絵にすごい質的な差があるのも似てるかな。 誰が描いてんだこの絵は。
小石川ふに 『初音がんばりますッ』 (少年画報社,¥780) [bk1][amazon]

やー、いいなこれ。 小粋なボンクラマンガ。 リーマン推奨。
OLの初音さん、好きな人がいるんですけど想いが伝わりません! どうしよう? どうしたらいんでしょう!? 答え「乳」。 とか、そういうマンガです。 ちょっと天然入った巨乳のOLさんのあたふたぶりを見て楽しもうマンガですな。 『すてきなOLコミック』連載、というのもいかにもボンクラなほほえみを誘います。
「巨乳娘さんの乳はコマからはみだす」というアイディアが実行に移され、それが貫徹された時点でこのマンガの勝利は決定していたと思います。 ふかふかしてそう。 見てるだけで楽しいわ。 適度なお色気と適度なまぬけさ。 うまいな〜小石川ふに。

メモ。
『血だるま剣法・おのれらに告ぐ』はホントにすごいなぁ、鬼気迫る、とはこのことだ。
柊ゆたか 『OZ』は絵で買った。 大変魅力のある絵で、眺めるに良し、という感じかな。 ドロシーちゃんがエロい。 「パワーパフガールズ?」とか言ってる場合ではない。

桜庭一樹 『推定少女』 (エンターブレイン,¥672) [bk1][amazon]

チープ、スリル。 安っぽくて乱雑だけど。 それこそが価値である。
繊細であることの、ひとつの在り方。 なーんて。
面白かった。
桜庭一樹は『赤×ピンク』を読んだときに気味の良いものを書く人だなぁと思ったのだけれど、この『推定少女』にも同じにおいを感じたので読んでみたら当りだった。
物語は、家出少女が出くわす一夜の奇跡。 義父とのトラブルで家を飛び出して「お尋ね者」になった女の子が、もうひとりの女の子に出会う。 女の子は、全裸で、凄く綺麗で、でも死んでいて(眠っていて?)、銃を持っていた。 眠るように死んでいる女の子は家出少女の目の前でかなりアンリアルな方法で生き返ってみせて、家出少女から名前をもらう。 白雪。 雪みたいに白いから。 白雪。 ねぇ、クール? 女の子達はちょっと笑いあう。 白雪は記憶を失っていて、宇宙からやって来た宇宙人かもしれなくて、ホントは違うかもしれなくて、全部嘘かもしれない。 「全部嘘かもしれない」ということだけが共有されて、とかく物語は走り出す。
一言で言うとメチャメチャだった。 リアルとアンリアルの差は、かなりてきとーに融解して伸縮して家出少女と白雪を翻弄する。 田舎町にUFOは落ちてくる。 補導員や警察や黒服の男たちは実は悪の宇宙人の手先かもしれなくて、いつ緑色のスライムに変わるかわからない。 白雪の持っていた銃は本物のデザートイーグルで、試しに撃ってみたら轟音と共にヤクザの足を撃ち抜いた。 ガーン!
そんな中を女の子達は走る。 移動しつづける。 逃げつづける。 いろんなものに捕まんないように。 捉えられないように。 彼女らは何者かである、と定義されないように。 そのたもろもろのつまらないもの、おそろしいものに捕まらないように。 女の子達は逃げる。 女の子達はちょっと笑いあう。 男の子がひとりついてくる。
リアルとアンリアルの差がてきと〜に融解して伸縮してよくわからないものになるように、逃げている間、女の子達の抱える悩みや問題もひとまずよくわからないものとして保留される。 よくわからない。 「ぼくはまだ愛しあうってことがぜんぜんわからないけど、もしそれがわかるようになったとき、ぼくはいまのぼくとはぜんぜんちがうぼくになっているのかもしれない」とかなんとか。
彼女らの、かなりてきとーで不思議な逃避行が好ましい。
彼女ら、彼らの逃避行が続くよう、世界が融解して伸縮してよくわからないものになるように祈った。
それは、彼女らの行く末に、少しでも多くの可能性があることと等しいから。
彼女らが彼女らの戦場にたどり着けますように。
彼女らが、彼女らの戦場で生き残れますように。
全ての銃を楽器に変えよ、パレードは続く。
とかなんとかいいながら、遠き星々の間で繰り広げられる大戦争に、戦士として赴いてしまったのは、超しょうもねえオタクの兄ちゃんだったのが印象に残った。 今日日、妖精の羽はオタク兄ちゃんの背中に生えてて、彼らをどこともつかない妖精郷へと連れて行こうとしているのかもしんないよ。 とか思った。
『なんでもねぇ。 そうだな……。 また逢おうな、あのゲーセンで。 ある日ばったり、また逢おうな』
彼は彼の戦場にたどり着けたのかね。
いま、幸せかい?
作者ページをみて知ったけど、この話は穂村弘さんの短歌がキーアイディアなんだってさ。
子供よりシンジケートをつくろうよ「壁に向かって手をあげなさい」
穂村弘の第一歌集『シンジケート』収録かな? わからん、あとで調べよう。
津田雅美 『彼氏彼女の事情』19巻 (白泉社,¥410) [bk1][amazon]

総一郎の父親の過去話が続きます。 親から子へ、子から子の子へと、ひとの弱さが引き渡されていく、連鎖する不幸の物語。
なるほど家を継ぐ。 血を継ぐ、っつうのはそういうことだよな。 と、ぼやっと思う。
総一郎の家の人が抱えた不幸は、「家の呪い」っつう視点を自ら刷り込んでいることかもしれない。
「呪い」っつうのは人を縛するひとつの視点、であって、受け入れるべきただのアクシデントが、この言葉でもって忌避すべきものとして括られてしまうのは不幸でしかないよな。
とは思った。
自分がそのような属性をもっているという事実はその当人にとってはとてつもなく重いんだろうけど。
ここぞというときに不意に自分を引きずり落とす「またか/おれもなのか」という認識。
きついよね、それってたぶん。
見据えて、受け入れるしかないんだけど。
ひとひとりではきついかもしれないな。
ひとひとりではきつい、というときにこそ、他の人、は居てくれるのだけれど。
総一郎のお父さんは極度の面倒くさがりなのかな?
「それでは解決しない」という方法を(頭良いからわかっていながら)毎度毎度選んでおりますね。
こおいう大人は殴られて良い。 総一郎くん、その面倒くさがりを殴っておきなさい。
しかし長期連載にはありがちですがすごい絵ェ変わってますよ?
この人、誰?
と一瞬思うことアリアリ。
そういや最近ノンフィクションについては書いてなかったな。
と思ったんで、書くですよ。
瀬名秀明編 『科学の最前線で研究者は何を見ているのか』 (日本経済新聞社,¥1680) [bk1][amazon]

作家にして薬学博士、瀬名秀明と18人の科学者たちの対談集。
『日経サイエンス』2002年11月号から2004年4月号まで掲載された対談の単行本化。
これは面白いというよりは刺激的だったというべきだろうなぁ。 大変楽しみました。
なにより瀬名秀明さんの立ち位置と態度が好ましいと思うですよ。 常に大衆へと目を向けなければならない作家という職業でありながら、同時に科学者としての目も持ち合わせている。 科学を啓蒙するにこれほど適した位置にいる人はいないと思う。 啓蒙といっても偉ぶるでなく硬直もせず、親切丁寧に解かりやすく、かつおもろくエンタテイメントとしてそれをできる人だ。 (「親切丁寧に解かりやすく、かつおもろくエンタテイメントとしてそれをできる」って書いた途端にインチキ臭くなったなぁ。 これは、いかにそういうものが存在しないかっちゅう証左だよね) 俺、エンタテイメント作家の瀬名秀明よりも、科学啓蒙作家として瀬名秀明の方が好きだし、信頼できる気がするな。 ヘンな云い方ですけど、科学啓蒙作家をやっているときの瀬名秀明さんはこの人のもつ善性が完全に発揮されているように思えるですよ。 あの、いかにも理系っぽい生真面目なところとか、人柄とか、全部ね。
で、対談ですが、さすがに18人の(しかもその分野の最先端にいるような)科学者との対談だけあって、スリリング極まりなかった。 もう、面白い面白い。 単に「聞いて面白いお話」として面白いですよ。 「うひょ〜!? そうなのか?!〜」って。
「第13回 机の上で実現する化学プラント」なんて面白かったなぁ。 「スケールを小さくする」だけでこれだけ世界が変わるものか、って思いましたね。
それと「第2部 私たちの心に潜む謎」の「第6回 赤ちゃんはどうして言葉を覚えるのか」「第8回 心はどのようにして生まれるのか」!
言葉、人間の言語能力、それと脳を巡るいくつかの対談。 哲学とか文系の学問と、理系の学問が衝突しあう領域であります。 これは学生のうちに読んでおきたかったなぁ。 「先生、『哲学するときに出る化学物質・フィロソフィンZ』とかが見つかったらどうします?」
それと、これだけ幅広い科学の領域を、横断して一気に見渡せた気分になれるのがいいね。 本やマンガで観聞きして断片としては知っていた情報が対談の中で詳しく説明されて、まがりなりにも「体系」の一部として再認識される瞬間がありました。 「知的興奮」っちゅうのはそういうことだよなぁ。
面白くて、タメになるッスよ。 これ。
大変楽しみました。
日記を書いて連想したこと、書いたことの背後にあったことを、後日、さらにノートしておくと、益が多いかもな。 俺にとって。 あと、みもしらないどっかの誰かさんにとって?
(ただの連想ゲーム以上のものにはならんかもしれないけどね)
ここは、そのときその瞬間の「ひとまずの結論」をほおり込んでおくところ。
っつーのも
って言ってみたときに頭にあったのはくらもちふさこの『チープスリル』だよなー。 なぜか。 ぜんぜん、その理由がわかんねえけど。
(もしかすると俺が「思考」ととらえてる行為の内実ってただの「連想ゲーム」なのかな? ロジックって関係ないか、もしくは暗黙的に作動するよう自分自身によって訓練されてる?)
そんだけ。
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