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中山昌亮 『不安の種 フタの章』1巻 (秋田書店,¥735) [bk1][amazon]

『新耳袋』とか『あやかし通信』とか『「超」怖い本』とかそのあたりで語られていそうな、現代怪談マンガ。
勘弁してください。 いまあげた本を読んでもゾッとする瞬間はあるんですけど、それが実際に絵になっているのは怖すぎますって! 鳥肌が立つわ!
いやー怖い。 現代怪談の怖さって、素っ気無さにあると思うのですよ。 「素っ気なさ」というのは、起こる怪異に明確な理由や原因や因縁が無い、あっても知れない、という得体の知れなさ、底の知れなさをもつということ。 ちょっと昔だったら、怪談にもなんらかの説明や解説とかついたでしょう? 「妖怪」とか「祟り」だとか「狐に騙された」とか「10年前に首くくった人がいて……」とか、でも、現代怪談にはその出自がない。 あってもそれが救いや解決にはならない。 それは知られず、ただあり、ただ不思議や悪意や不吉を蒔く。 それが怖い。 現代怪談の怖さってのはその素っ気無さにある。
で、この『不安の種』。 じつに素っ気無いんですね。 人が、怖いもの、不思議なモノを目にする。 ただそれだけ。 以上、終了。 その後のフォロー、一切無い。
そこで目撃される、不思議なモノがとにかく怖い。 いかにも血が通ってなさそうで、こちらのことを慮る意志なんて全然無くて、話が通じなさそうな、冷血の異形。 それが、ただ「そういうもの」として、しれっとそこに居やがる。 例えば五十嵐大介が描いてたら絵の温かみでもって「奇妙な味わいの不思議な話」になってそうな話でも、中山昌亮が描くとぜんぜん冷たくて、底冷えのする、高純度の不吉さを帯びる。 最初、その異形を一見するときの、ゾッとする感覚。 なかなか体験したことがないですね。 さすがに二度三度読むと、絵の衝撃には慣れるんですけど、かもし出す不吉さは減衰しません。 ヤだなぁ。
まだ第1巻「フタの章」しか読んでないんですけど、これから2巻「ぼーの章」読みたいと思います。
つうかなんだよ「ぼー」って? 既にして不吉だ。
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