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「Fate/Stay night」の話します。 にげろ。
「『Fate/Stay night』 やーっとクリアしたよ! 土日全部つかって! 長ぇよ! なんであらかたクリアすんのに何十時間もかかんだよ!」
「やー、たしかにかかったなー。 俺のゲーム体力が枯渇してることもあるんだろうけど、にしても読んでも読んでも終わらねえ『奈須の悪夢』は健在だったよ。 特に、最初の選択肢にたどり着くまでが長い長い! でも、そこを越せばあとはノリノリ、文章とのシンクロが完了するまでが勝負ドコかなーっつー感じかしら。」
「細かいフラグはぜんぜん埋めてないから本当にフルコンプしようと思ったらあと10時間ぐらいはかかるかも」
「つうか俺、ギャルゲやるの何年ぶりよ? ついぞやった記憶が無いんだけど……」
「去年の7月に『デモンベインが!』とか言ってたから半年ぶりですか、どうよ? なんぞ感じるとこはあった?」
「んーと、基本的に『1枚絵』であるCGを小分けにして、一部のみ見せることで『視点の演出』、つまり漫画的/映画的演出がなされてるのは『おーっ』と思った。 ギャルゲにおける科学力の向上を感じたな。 あれは山と作られた月姫系MADへの返歌? と考えると救われるものが多いと思う」
「まずはそんなとこかな。 続きはまたあとで」
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「はい、続き」
「クリアすんのに30時間、は嘘。 いま見たら40時間かかってた。」
「でも、一通り終わってみると『これでは全然足りない、不完全だ』と思うのはどういうことよ?」
「アサシン。 アサシン最高。 アサシン登場で最初のスタンディング・オベーション ブラーボゥ、ブラーボゥ。
ヤツの存在がこのゲーム/物語の可能性をググッと広げたこと間違いなし。 ぼくのかんがえたサーヴァント(ネタバレ注意!)」
「メガテンだなぁ。 女神転生であることだ。
僕ら、おなじものをくって大きくなりました感」
「というか、これって高校生のころに書いたしょうもない小説じゃろ? もとは。
それを10年かかってこれだけのものに仕立て上げるのはたいしたものだ。
物書き系オタの『あがり』であるな。 奈須キノコ」
「で、TRPGとしてはいつ発売されるのよ? GURPS-月姫?」
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思考。
俺にとっては、ギャルゲの文章でもっとも重要なのはリズムだ。
文章にノれるかノれないか、はほとんどゲームのプレイビリティ、に等しい。
あの、マウスをクリックして流れていく文章を目で追いかける作業、その相互作用性、インタラクティビティになにか秘密がある。
とは遊ぶたびに思うが、具体的になんなのかはいまひとつわからない。
韻と音をなぞりながらボタンをおす作業、にも関わらず「読み進む」という印象、物語に干渉できるという幻想。
テキストの総量がわからない、というのは大きいかもしれない。
他の媒体では、物語の終わりは「物理的に」わかる。
本読んでいるときは「あーもうそろそろラストだな」ってページでわかるしね。 映画は時間で検討がつく。
物語メディアとしてのゲーム、その終わりは、物理的に量るものでなく、物語の構造的から推し量るものになる。
「ああ、もうすぐ終わるな」っちゅう、あの感触は、いったい何がもたらすもの?
その「総量」はいつどこでだれが決めているんだろう?
小僧 VS 世界。
小僧の正義は、果たしてどこまで通用すンのか? (燃える!)
小僧の正義ってたいがい下らなくて、だからとるに足らないと見切られるけど、
じゃあ「何が」切り捨てられてんのかまで見るヤツはすくねえよな、とかそんな話。
なんでギャルゲの主人公って語尾が「だぞ」になっちゃうの?
若い男の抱える「自意識」とは、ほとんど「ちんこ」と同義だから?
知っておいた方がよいかもしれない言葉。
神学論争って楽しかったに違いない。
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小説に関して。 すこしづつ味わいながらかじりかじりしている。 読み終わってはいないけど、ひとつひとつの質が高いので、充実している気がする。 それはしやわせといってよい。 いま読んでいるのは

<奇想コレクション>にはほんとうにハズレがないなぁ。 テリー・ビッスン『ふたりジャネット』。 表題作のヘンさと、そのわりのそっけなさには目を見張る。 というかあきれる。
ケリー・リンク『スペシャリストの帽子』、「プラチナ・ファンタジイ」で刊行されてるやつ、3冊目。 現代アメリカ文学だって? ハヤカワ文庫FTとしても異色だよな。 解説は柴田元幸。
タニス・リー『バイティング・ザ・サン』 俺、これ読むのかなぁ? タニス・リー描く未来ディストピア、という時点で胃もたれ起こしそうだけど……。 表紙はかなりステキ。 「タニファイブあたりが谷甲州ちゃうかな?」
絵付き小説の感想変更。
トピックとして切り出しました。
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神野オキナ『あそびにいくヨ! 2 作戦名「うにゃーくん」』 (MF文庫J,¥580) [bk1][amazon]

光年を超えて地球を訪れた宇宙人は日本語を話す猫耳さんでした。 しょうがない。
いつのまにやら沖縄に居着いた猫耳宇宙人、今度は東京へ行く。 ニャー!
1巻感想。
2作目にしてもはや、
ここちよい仲良し空間がかたちづくられている、と思う。
世界は善意でできているが、そこにリアルがないわけではない。 みたいな。
良い、というか気楽、といったほうが正しいかしら。 そんな空気を感じることができる。
この人が他の物語(例えば『シックス・ボルト』)で見せる残酷さとか、居心地の悪さ、もなかなかユニークで、それを楽しむことも嫌いじゃない。
けど、根本的に幸せが保証されてる世界で繰り広げられる、ままごとみたいなスペクタクルのほうが、ちゃちぃことを含めても愛らしい。
と思えた。
沖縄、パワード・スーツ、クチュルー、オカルト、邦画、銃器などなど、作家・神野オキナ/中笈木六がこれまでものしたガジェトを詰め込めるだけ詰め込んだ「総力戦」であることが伺える(? 単に他のシリーズからキャラクターやネタひっぱってくるのが好きなだけかもw 由麻角高介は未読なのでパス) 『シックス・ボルト』シリーズが命運尽きてしまった以上、こちらがシリーズ化してくれてほんとうによかった。
続いて欲しいです。 ふつうに。
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小川一水『ハイウイング・ストロール』 (ソノラマ文庫,¥629) [bk1][amazon]

全てが重素の雲に沈んだ地球。
雲海から湧き出る浮獣を狩る空の狩人達の物語。
えー、ダメでした。
どのようにダメかというと「新鋭として注目されている小川一水のお仕事としては、この程度ではダメと言われるべき」という意味でダメ。 つまり期待値以下。 ゲームのノベライズとしてならばすごい上出来。
一読してゲームのノベライズ? と思うほどゲーム的だった。 「雑魚モンスターを倒して経験値と資金稼ぎ、船のパワーアップをはかり、さらなる獲物を求めて遠征。 強敵には他プレイヤーと協力して当れ!」 まんまMMORPG。 それとリンクする形で描かれる少年の成長物語(年上! その意気やよし!)。 RPGとしては王道のストーリーだ。 「このゲームやりたい」とさえ思った。
けど、逆にゲーム的な「イベントこなしてます」感がハナについた。 意図的に作られた世界で、意図に沿った定型の物語が駆動するのって退屈じゃないか? 物語、というよりはシナリオだよ、これ。
『第六大陸』『導きの星』で新鋭として注目されている作家、小川一水ともあろうものが、この程度のもの書いてちゃダメでしょう。 あとがきの解題じみた文章もダメ。 読者を煙に巻こうとしてるみたい。 ダメ、ダメ、ダメ。
なんでつまんねえんだろ?
ゲーム的、なのがダメなんじゃないな。 ゲーム的といえば『導きの星』だってじゅうぶんゲーム的だった。 (しかも美少女系育成シミュレーションな、ヒロイン毎にエンディングが用意されてる類の)
用意された世界(とその描写)。 そこで駆動する物語。 分量。
この三者が連動していない。
それが、つまらない、ものたりない、と感じてしまう原因かな?
って、ダメだった原因考えさせちゃうのもダメ。
俺はただ、凄いものが読みたい。
俺はただ、褒めちぎりたくなるものが読みたい。
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いつぞやシステム屋さんと飲んでたときに「俺、bk1使ってますよ」発言したら「あんなとこ使ってるのぉう?」と憐れまれた(蔑まれた?)のだけど、そういうことだったのだといま納得する。 システム屋さんからすれば、不完全かつ美しくないシステムは使えないし使いたくない、ということだったんだろう。
bk1で漫画が予約できたころまでは、日常的に使ってたんだけど、今は使わなくなってしまった。(というか、オンライン書店そのものを使わなくなったが) 思えばあれが契機だったのか。 本読みの日常の組み込まれ、使われるオンライン書店。
俺の耳が届く範囲でも良い評判は聞かないし、順当に行けばこのまま沈んでいくんだろうけど、Amazonの一人勝ちなんて面白く無さ過ぎるので応援はしたい気分ではある。
あ、トラックバックってここに送るのね。
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いつのまにかでてた岡崎京子のエッセイ集のタイトルは「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」
胸が痛む。
ぼくたちは何だかすべて忘れてしまう。
So it goes.
追記する。 「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」はエッセイ集ではなく物語集だった。 岡崎京子がマンガ以外の方法で物語を紡ぐとはとうてい思えなかった。 だってそれって簡単すぎるだろう?
心苦しくて、冷静に読めない。
読めない。
だから冒頭部を引用だけしておく。 おきたい。
ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね。
いや、ぼくは何だかすべてを忘れてしまうと言った方が正確だろうね。君はぼくのようには多分忘れないし、他の人々もきっとぼくのようには忘れないだろう。多分、きっと、みんなそれぞれの容量の記憶力と忘却力をもってそれぞれに忘れているんだろうね。

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マンガ・エロティクスF vol.26 [bk1][amazon] は犬上すくねが表紙でわーいって読んでみたら……「雑誌にあわせてふだんは描かないとこまで描いてみました」ってのがあからさまにわかっちゃって、なんか見ちゃいけないもの見ちゃったなと、えー、なんかその……気まずい。
わたくし的には「描かないほうがいいですよ」派なので、あー……げふんげふん(咳払いをしつつ知人に目配せをする)。
とか、そんな日常。
ここ一週間何読んだっけ?
ちょっと書いとこ。
オススメは川畑聡一郎『S60チルドレン』 [bk1][amazon] と枡田道也『浅倉家騒動記』2巻 [bk1][amazon]
読みマンガ追記。
自分が何読んだかを、人様の日記を読んで知る。
ここ10日ぐらいの記憶トんでるわ俺。
テキトーに生き流したからなぁ。 むべなるかな。
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連想、開始。
ぐろぐろ。
山本直樹→相田裕『ガンスリンガー・ガール』→きづきあきら『氷が溶けて血に変わるまで』→あびゅうきょ『あなたの遺産』
つまり、
「世には不幸がある」という事実と、
「不幸を描くフィクションがある」という事実と、
「無関係の他人の不幸とは結局のところエンターテイメントでしかない」という事実と、
そういう世界に暮らして、
フィクションを楽しむ、
てめえの立ち位置を思う、
ということ。
もちろん、「世には不幸がある」という事実と、てめえの立ち位置には、まったく、まるきり、てんで、関係が無いことだけど。 だから、そこに働くのはただの「連想」でしかなく。 兎は白い、白いは豆腐、豆腐は四角、四角は… 以下、永遠に続く。
よくわからねえ。
わかる必要もねえ。
けど、
たぶん、
うえのニュースを目にしたときに感じたゲスな快楽とちょっとした落胆とその他諸々のぐろぐろは
俺にとって必要なもの。
イスラム過激派の仏像破壊のときの、だれぞの台詞。
「ここで行われている戦闘では毎日のように人が死んでいるというのに、あなた方が心配するのは石像だけなのだ。 つまり我々の命は石像よりも軽い。 ならば、そのような石像はわれわれには不要だ。」
『エイリアン』のデザイナー、H.R.ギーガー曰く「私はこの世の『悪』を絵に塗りこめる現代の悪魔祓師だ」
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夕方、やるべきことがらをぜんぶうっちゃって、ごそごそと『イノセンス』観てきた。
「押井守。」
と云う他ない出来だった。
「押井守ファン」と仮想される人々が必要とする全てがあり、
「押井守ファン」と仮想される人々が必要とするもの以外は一切なかった。
「押井守ファン」と仮想される人々がかくあれかしとのぞむ全てがあり、
「押井守ファン」と仮想される人々がかくあれかしとのぞむ以外は一切なかった。
そういう映画だった。
俺も「『押井守ファン』と仮想される人々」の範疇であり、
小学生の夏休みにテレビで『迷宮物件』を見て以来、俺の数%は押井守であり、
体内の押井守回路は10本20本じゃきかねえぜ!
な人なので、もちろんその映像美を楽しんだ。
たいへんに楽しんだ。
だが、
まったくもって一分の隙もなく「期待値どおり」の作品であり、
快楽はあったが、感動はなかった。
「なんたらのファン」を10年も20年もやってると、人間「深まってくる」のを通り越して「煮詰まってくる」のが世の必定であり、
劇場に足を運ぶのが「ただの確認作業」であるというのは、はっきり云って面白くも何ともなく、それを肯定しつづけるのもあんまり褒められたことではない、正直しんどいことであるよ、と感じたのは確かな事だ。
たかが映画が、ある種の踏絵として機能するように見えるのは、あまり気持ちの好くことではない。
それは確かな事だ。
う〜ん
見なくても良かったのかもしれない。
といまではちょっと、いや、かなり、思う。
たかがの映画じゃねえか、おめえなにやってるつもりだ? 莫迦。
とか、無性に「誰か」を罵りたい気分だった。
映画のできとは、関係なく。
映画を取り巻く状況と、映画に対する俺の態度に。
ひじょうに問題があった。 ということだ。
やれやれ。
……「なんか知らんが、俺はこれ好きだ」というものに、いつのまにか「押井守」というレッテルが貼られてやがったという状況で。
それは「セカイ系」とかと一緒で。
こういうくっだらねえ状況は、
この先もごく普通に起こりえることであろうから、
一言、俺の基本的な態度を表明しておきたいと思う。
五月蝿え。 知るか、バカ。
以上。
で、以下、雑感。
エンディング、
超流麗映像に満足ながら「フォロミ〜」の歌詞を追っている最中、
スタッフのリストが1/3ぐらい「西田」で埋まる瞬間があって、
そのときだけ静かだった劇場内にざわっとどよめきが起こった。
「西田多くね?」
その一瞬だけが、
俺が劇場に来て良かった。
と素直に思えた瞬間だった。
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転位します。
新URLはこちら
http://sto-2.que.jp/
リンク、ブックマーク等の変更をお願いします。
新URLではTrackBackとコメント機能を実装しました。
移行作業が完了していないため、不備もあるかと思いますが
今月中は試験運用ということで。
http://sto-2.cside7.com/
は今月中はミラーサイトとして機能、
3ヶ月程度放置した後に自然消滅します。
今後ともよろしくお願いいたします。
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はてなダイアリーの情報集積率の高さと速さはさすがだ。
なるほど『イノセンス』とは、何か云いたくなるような、態度を表明したくなるような映画だったし
あの、過剰なまでの引用だらけの映画に対して
或いは引用のみで自らの感想を構築する
のは正しい行ないであるように思われる。
じゃあ俺は
SF系と漫画系とを巡ってみようかしら。
と思った。
SF系を巡る。
あー疲れた……。
アンカーが無かったり、見つけられなかったりしたので、リンクが切れていたら2004年3月近辺の日付を参照のこと。
意外に話題になってないですね。 「王の帰還」「ゼブラーマン」「マスター・アンド・コマンダー」の話題もちらほらある。
「はてな」界隈で話題になっている(だけ)。
という気もしてきました。
さらに漫画系を巡る。
漫画系に補足されているサイトの多くは、はっきりと漫画のみに特化しているので、言及はすくなかった。
「エース桃組 2004春号」に平野耕犬「進めンス-それはいのち-」という漫画があるらしいのでそれは読んでおけよ君は。
や、もう一回劇場で見たくなってきた。
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昨日『イノセンス』感想リンク作っていて強力に感じたのは、人様の言葉をてめえの都合の良いように切り出して「ほとんど自分の意見であるもの」をさも世の趨勢であるように語るのはそれなりに魅力的だ、という、非常に陳腐なことだった。 「陳腐」と価値判断は俺の倫理的な部分がそうさせた。 それは「陳腐」というブレーキングが必要である程度には楽しいことだったとは、記録してしておく。
連想。
「人様の言葉をてめえの都合の良いように切り出して『ほとんど自分の意見であるもの』をさも世の趨勢であるように語る」とは新聞というメディアが主に行っていること。 世論。
顔の無いニュースサイト、
顔の有るブログ?
顔が有る/無いだけで「人」はいるだろ、とか。
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幸村誠『プラネテス』4巻 (講談社,\667) [bk1][amazon]

愛し合うことだけはどうしてもやめられないんだ
がんばったな? ハチめ。
もしくは、 かっこつけたな? ハチめ。 と思った。
そんで、こいつは、凄いヤツかもしれない、と思えた。
ハチの云う「愛し合う」って、まんま「生きる」と同義だ。 他の何を切り捨てたって、それだけはやめられない。 核融合なんて目じゃない、強力な、すばらしくもあり、おそろしくもある力。 それって、まんま、「生きる」ってことだ。 ハチは木星から帰ったら、その力をもっとうまく使いたい、と云う。 「生きる」ことをもっとうまくなりたい、と読むならば、それはわかる。 それならば、俺はぜんぜん理解する。 うん、でもハチは、それをわざわざ「愛し合う」と云った。 それが、わからなかった。
いや、ヤツはヤツなりに、思うところがあったのかもしれない。
木星からのスピーチをするちょっと前に、半ば冗談めかして、ハチは云う。 もし船長が、全人類、赤ん坊からジジイまでを根こそぎ感動させるスピーチができたら、人類は銀河連盟(w に仲間入りできるんじゃねえか。 とか、そういうことをハチは云う。 それに対する同僚の答えはもちろん「無理」で、誰も人の心なんかわからないし、それだから生きるのは面白いのだと、同僚は云う。
でもハチは掛け値なしのバカなので、「ムリかなぁ…」「そうかなぁ…」とつぶやいた。
たかがスピーチで、全人類を赤ん坊からジジイまでを根こそぎ感動させることが、まったくの不可能でないと思うところが、ハチのバカ性のすばらしいところで、ハチのバカは、可能性と等しい。 ハチのバカは、希望と等しいのだ。 大げさに云えば。
そうか。
やっぱりヤツはヤツなりに、思うところがあったのだ。
と思う。 バカは、バカなりに考える。
だから、
「生きることとは、愛し合うことである」
と、全身全霊で、云ってみせたのだ。
と思う。
全身全霊のくせに、まったくの自然体で、口からである言葉はぜんぶ実感。
というのはのは、ハチがハチとしてハチなりに持ち得た善性、徳、であって、
「愛」という言葉に、「やつめ、バカのくせにかっこつけたな?」 といぶかしく思うこともあったのだけど、
やっぱりそれはそれとして、凄いヤツなのかもしれない。 この青年は。
と思えたですよ。
で、そんな台詞は、たぶん、結婚する前のハチからはでてこなかった。
誰かを愛してる? と聞かれたときに、まず「?」と「(なんでこの人はそんな当たり前のこと聞くんだろう)? はい もちろん」のタナベがいてこそ、ハチのこのスピーチがあったんだろう。
「愛し合う」が、まんま「生きる」とイコールになる、愛の達人たる大バカ、タナベは、人類最長の旅をする、てめえのダンナに、ただ「愛」だけを、かくじつに持たせてやったのかもしれない。
幸か不幸か、好ましいバカって人に感染するんだ。 しかも、おおぴらに。(w
と考えると、俺はとても気持ちが好く。
最後の一言でもそう思ったけど、
ロックスミスって、人間としてひどく不器用だよな。
「生きるとは、愛し合うことと等しいかもしれない。 が、自分はもう愛し合わない。
自分は、自分が自分として生きるために、生きるとは愛し合うことではないと選択する」
というのがたぶんロックスミスで、
にもかかわらず最後にあの台詞を吐いてしまうことに、
彼のどうしようもない不器用さがみえる気がする。
この人は、ひどく損な人だ。
そこに人の感情が結晶しているような、一瞬の表情、というのが、本当にうまい。
事故で死んだ技術者の妹が、髪の間からのぞかせる絶望の瞳。
悲しいことであるべき事実を、ただ事実として伝えるロックスミスの「表情がない」という表情。
犬の野生が叫ばせる「ウォン!」の一声に、ほとんど女の子みたいにきょとんとしちゃうフィーの愛らしさ。
とか。
うん。
良いマンガだったと思う。
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