川畑聡一郎『S60チルドレン』 (講談社,¥514) [bk1][amazon]

ならば 少しだけ……
つきあってくれよ
あんなにも無知で……
非力だった時代――
素晴らしき
子供の日々って奴
面白かった。 そしてショックだった。
子供の無力さ無知さ弱さが存分に描かれていて、
それでいてひじょうにリアルである。
そのリアルなさまに衝撃を受けた。
ここで描かれるショウワの世界にはいわば「10歳の壁」みたいなものが存在する。
年齢が二桁に達しない奴らは全員、二頭身の、あまりにデフォルメされた、珍妙な生き物として描かれる。
それがつまり子供ってわけで、
やつらは愚かで粗野で薄汚くて無知で弱弱しく拙いクソみたいな存在で、
それでも、やつらの狭苦しくくだらねえ世界とやつらが感じる心情はたいへんにリアルに実感を伴って感じられる。
その世界は知っている。 かつて俺はそこにいた。 やつらは、俺だ。(なんてね?)
それは、ほとんどやりきれねぇ。
やつらの世界のリアルを、リアルと感じることで、まるで自分が、やつらの世界に戻ってきちまったような幻覚に囚われる。
そりゃ俺はもう大人だし、前と比べれば無知でも無力でも弱くもないけど、かつて子供であり、いまでも若干、いちぶ子供である。
だから、こういう、てめえを振り返ってみても思い当たるような、リアルな子供を感ずると、俺の「中」が軋みをあげる。 たぶん。
ホーローの流しに熱湯捨てると「べこん!」っていうときがあるでしょう? あれみたいに。
だから、俺のこの言葉は、一言で言うと「べこん!」なんだよ、べこん! ああもう、ショック! 切ねえぜ!
もっと云うと、子供というのも一種のフィクションで、
ここにいるのはただの人間なんだよ。
とか、そういう話かもしれぬ。
主人公くんの彼女さん、皆月光子さんはたいへんエロいので注意が必要です。 ちょっと不思議ちゃん入ってるし。
