第弐齋藤 土踏まず日記 : 幸村誠『プラネテス』4巻

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2004/03/10 (水)

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愛し合うことだけはどうしてもやめられないんだ

 がんばったな? ハチめ。
 もしくは、 かっこつけたな? ハチめ。 と思った。
 そんで、こいつは、凄いヤツかもしれない、と思えた。

 ハチの云う「愛し合う」って、まんま「生きる」と同義だ。 他の何を切り捨てたって、それだけはやめられない。 核融合なんて目じゃない、強力な、すばらしくもあり、おそろしくもある力。 それって、まんま、「生きる」ってことだ。 ハチは木星から帰ったら、その力をもっとうまく使いたい、と云う。 「生きる」ことをもっとうまくなりたい、と読むならば、それはわかる。 それならば、俺はぜんぜん理解する。 うん、でもハチは、それをわざわざ「愛し合う」と云った。 それが、わからなかった。

 いや、ヤツはヤツなりに、思うところがあったのかもしれない。
 木星からのスピーチをするちょっと前に、半ば冗談めかして、ハチは云う。 もし船長が、全人類、赤ん坊からジジイまでを根こそぎ感動させるスピーチができたら、人類は銀河連盟(w に仲間入りできるんじゃねえか。 とか、そういうことをハチは云う。 それに対する同僚の答えはもちろん「無理」で、誰も人の心なんかわからないし、それだから生きるのは面白いのだと、同僚は云う。

 でもハチは掛け値なしのバカなので、「ムリかなぁ…」「そうかなぁ…」とつぶやいた。
 たかがスピーチで、全人類を赤ん坊からジジイまでを根こそぎ感動させることが、まったくの不可能でないと思うところが、ハチのバカ性のすばらしいところで、ハチのバカは、可能性と等しい。 ハチのバカは、希望と等しいのだ。 大げさに云えば。

 そうか。
 やっぱりヤツはヤツなりに、思うところがあったのだ。
 と思う。 バカは、バカなりに考える。

 だから、

 「生きることとは、愛し合うことである」

 と、全身全霊で、云ってみせたのだ。
 と思う。

 全身全霊のくせに、まったくの自然体で、口からである言葉はぜんぶ実感。
 というのはのは、ハチがハチとしてハチなりに持ち得た善性、徳、であって、
 「愛」という言葉に、「やつめ、バカのくせにかっこつけたな?」 といぶかしく思うこともあったのだけど、
やっぱりそれはそれとして、凄いヤツなのかもしれない。 この青年は。

 と思えたですよ。

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 で、そんな台詞は、たぶん、結婚する前のハチからはでてこなかった。

 誰かを愛してる? と聞かれたときに、まず「?」と「(なんでこの人はそんな当たり前のこと聞くんだろう)? はい もちろん」のタナベがいてこそ、ハチのこのスピーチがあったんだろう。

 「愛し合う」が、まんま「生きる」とイコールになる、愛の達人たる大バカ、タナベは、人類最長の旅をする、てめえのダンナに、ただ「愛」だけを、かくじつに持たせてやったのかもしれない。

 幸か不幸か、好ましいバカって人に感染するんだ。 しかも、おおぴらに。(w

-

 と考えると、俺はとても気持ちが好く。

-

 最後の一言でもそう思ったけど、
 ロックスミスって、人間としてひどく不器用だよな。

 「生きるとは、愛し合うことと等しいかもしれない。 が、自分はもう愛し合わない。
  自分は、自分が自分として生きるために、生きるとは愛し合うことではないと選択する」

 というのがたぶんロックスミスで、
 にもかかわらず最後にあの台詞を吐いてしまうことに、
 彼のどうしようもない不器用さがみえる気がする。
 この人は、ひどく損な人だ。

-

 そこに人の感情が結晶しているような、一瞬の表情、というのが、本当にうまい。

 事故で死んだ技術者の妹が、髪の間からのぞかせる絶望の瞳。
 悲しいことであるべき事実を、ただ事実として伝えるロックスミスの「表情がない」という表情。
 犬の野生が叫ばせる「ウォン!」の一声に、ほとんど女の子みたいにきょとんとしちゃうフィーの愛らしさ。
 とか。

 うん。
 良いマンガだったと思う。

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『宙(そら)に道を探した青年は今、人類で最も長い距離を翔けた

This is SFニュースタンダード
大喝采の一部完!!

愛し合うことだけはどうしてもやめられないんだ。――2080年 星野八郎太(...)

+ : 投稿者 : N 投稿日 : 2004/03/12 12:40:48
おい
プラネテス四巻への感想はあれで終わりか?
隠し玉はないか、アップできないような奴(分量的にとか)は。

あるなら見せれ
次は俺のターンだ
+ : 投稿者 : 第弐齋藤 投稿日 : 2004/03/12 12:47:18
追加は特になし。
オッケー。
ユア、ターン。
+ : 投稿者 : N 投稿日 : 2004/03/12 12:48:18
>ユア、ターン。

あいよ。
ロックスミスはハチマキに嫉妬している。
ロックスミスはハチマキと違う道を選んだのではなく(つまり同格ではなく)、ハチマキはロックスミスを踏み越えた。ハチマキが格上でスミスは格下。
もちろんハチマキはロックスミスが居なければ何者でもなかったんだがね

とまぁ結論だけ書いた。ぴんとこなければ終わりにしよう。おまえの日記の記述については98パーセント意見が一致してるし

2パーセントも違ってりゃ別の生物だがな
+ : 投稿者 : 第弐齋藤 投稿日 : 2004/03/12 12:53:07
以上。

Nとの往復書簡(メールでのやりとりでした)
をコメントとしてアップ。

たしかに、2パーセントも違ってりゃ別の生物だよな。
それでも俺はぜんぜんかまわない。もちろん。
+ : 投稿者 : 第弐齋藤 投稿日 : 2004/03/12 13:01:17
そんで追加。

>ロックスミスはハチマキに嫉妬している。

のはそうかもしれない。
それは頷ける。

けど

>ハチマキが格上でスミスは格下。

とはみじんも思わなかったな。上とか下とか、そういうことじゃねえだろ、とは思ったけど。

だもんで、ちょっとびっくりですよ。
「なるほどね」的にびっくり。
+ : 投稿者 : N 投稿日 : 2004/03/12 18:23:16
しょうがねぇな、恥を晒すとするか

「愛」を巡って「愛する」があり、「愛し合う」がありましたとさ。
愛するのはひとりで出来るが(スミス)、合う、のは最低もうひとりの、しかもにんげんがいなきゃ成り立たないの。
おまけにスミスは宇宙(とかその辺)を愛している訳ではない。「人間が敵わないもの」を憎んでいるだけ。それはそれは意識的にね。
この憎しみの裏返しの一方的な「愛してる」は宇宙に突き進む原動力にはなります。でもそんな魂じゃ宇宙に飲み込まれるでしょう。
他方、ハチは「愛し合う」力で宇宙のなかに平然と優しい気持ちで在ることが可能になった。しかし、先に進む必要も特になくなったろう。

ハチは土星には行くのかね?

上下が気にくわんなら補完し合う、とでもいっておくか。フォン・ブラウンは月に降り立ちたかったろうなあ

俺にとって4巻で一番重要なのは、木星を肉眼で捉えながらも親子で軽口を叩いてるシーンでした。何という強靭で軽やかな精神!信じられねぇ。
近所の月に降り立った人達はその後だいたい信仰の道を選んだそうな。100年経つと人類も少しは乳離れが出来るらしいな
なんという希望。SFだねぇ。
+ : 投稿者 : 第弐齋藤 投稿日 : 2004/03/13 01:21:31
以上、
オタ2匹による「アイムトップオブザワールド」モードでお届けしました。

根拠なしの断定と傲岸な物言いが互いにすれ違いながら
ただテンションだけがあがっていく様はハタからみてりゃまったく理解不能で気持ち悪いだけでしょうけどやってるやつらにしてみりゃ最高におもろいのよ? 知ってるだろうけど。

とかなんとか。


ま、いいや。たまにはやってみよう。
とワルふざけてやってみただけッス。

今度はもっとしっぽりとやろうぜ、だんな?

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