第弐齋藤 土踏まず日記 : 読書会『マルドゥック・スクランブル』について その3 読書会の手引き

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2003/08/11 (月)

[TOPIC] 読書会『マルドゥック・スクランブル』について その3 読書会の手引き

 読書会についての諸説明です。

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・読書会とは何か

 読書会というのは、読んだ本について語る集まりのことです。

 世の中、本読むのが趣味という人は多いです。
 そういう人たちがたまにでも会ったりすると、自然とそういう話になります。
 「そういう話」とは「最近なに読んだ?」であり「あれ面白かった?」であり「あれ読んだんだけど……」であり、つまり「くちさがない本の話」であります。

 ただ「くちさがない」だけでは面白くないので、そこに意図的にルールを設け、そのルールに従って喋ろうとすると「読書会」という集まりになります。 なると思います。

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読書会の際によく語られる、聞きなれない言葉

・テキスト
読書会のお題となる本のことをかっこうをつけてこういいます。
かっこつけ以上の意味はありません。
・レジュメ
読書会を進行する上で助けになる印刷物のことです。司会が用意します。
あらすじ、登場人物一覧、専門用語の解説、論点、著者概略、著者の他の著書について、などが書かれています。
→参考 MYSCONで行われた読書会のレジュメ
    『鏡の中は日曜日』
    『法月綸太郎の功績』
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読書会の際に必要なもの

・テキスト。
『マルドゥック・スクランブル』の3冊。
ないと話ができません。
・筆記用具
メモをとるときに使います。 なくてもいいです。
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読書会の進行
 このような段取りで行ないます。

・自己紹介と諸感想
簡単な自己紹介と、『マルドゥック・スクランブル』を読んでみての感想を全員に聞きます。
30分程度。
・論点について
司会が定めた論点にそって所感を述べ合います。
基本的に各人の自由発言となりますが、全員に意見を求めることもあります。
各論点につき10分〜15分程度。
・休憩
適当なところで休憩を入れます。
お茶、トイレ、ダラダラくっちゃべるのもO.K.
20分程度。
・感想
論点を消化し終わり、話す話題も尽きたならばおしまいです。
最後に、読書会を終わってみての感想を述べてもらいます。
30分程度。
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心がけ

・初めて参加する方へ
 発言することを怖がらない。 発言しないことを悔やまない。
 はじめはなかなか思うことも言いづらく、気後れしてしまうかもしれませんが、それを喋ったからと言ってひどい目にあわされるわけでもないので、言いたいことは言ってしまいましょう。 基本的に言ったが勝ちです。
 今日は最低でもこれだけは言っておこう、これを言えたら自分の勝ちだとしておこう、と決めておくと気が楽です。 最初の感想のときにそれを言ってしまえばいいんですから。
 なかなか発言できなくなってしまうこともありがちですが、そのときは他の人の話に穏やかに耳を傾けましょう。 ドイツの諺にはこうあります「雄弁は銀、沈黙は金」。
・初心者でない方々へ
 もうあなた方は銃で眉間を撃ち抜かない限り喋るのを止めないでしょう。
 せいぜいはしゃいでください。
 ただ、初心者の方々がいらっしゃることを心に留め置いてください。
 もう大人なんだから。
 ね?
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必要とされる能力

 最低限必要とされるのは他人の意見に耳を傾ける能力、次に自分の意見を述べる能力です。

 まずは他の人がナニを喋るのか、それを聞きましょう。 これがなければ何にもなりません。
 次に、どんなかたちであれ"I think"か"I feel"かを言葉にしましょう。
 その際、テキストに即した形で述べるのがスマートです。
 「何ページに書かれてあることについてこう思う」とか「何ページに書かれてあることについてこう感じる」とか。 端的に「この台詞がグレート!」とかでも。 でないと、とりとめのないものになってしまいがちです。
 (読書会は、自分たちが読んでいるのは同一のテキストだ、という幻想に依存します。)

 積極的に必要とされる(あると面白くなる)のは瞬発的な詭弁術だと思います。 一言で言うと「ハッタリ上等」。
 探偵小説における犯人、もしくは探偵がみせる「見立ての能力」といいますか。
 占い師がテクニックとして身に付けている「ストーリーテリング能力」といいますか。
 自分の"I think""I feel"をもとに、他人が共感しうるウソを構築する能力です。

 それができるとひじょうに面白く、やみつきになります。 楽しいもんね。

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余談、有用性

 読書会はディベートの一種か? と問われれば違いますと答えます。
 なにごとかを弁し論する、つまり自分の意見を述べるという点においては重なりますが、なにごとかの正否を問うことはしません。

 ディベートではありませんが、他人の"I think","I feel"を聞く技術、そして自分の"I think","I feel"を述べる技術は「歌を唄う」「絵が描ける」「楽器を演奏できる」「文章を書く」など同様「レベル1でも、あれば人生を豊かにできるスキル」のうちじゃないかと思います。
 読書会になんらかの有用性があるとするなら、このスキルを養うことができることでしょう。

 それと、これは社会人、お仕事をもっている人向けですが。
 社会にでてしまうと「くちさがない本の話」をする機会がすくないことに気づきます。
 私事で恐縮ですが、例えば私のいまのお仕事場、ボスは栗本薫の「グインサーガ」読み(しかも新刊が出ると3日以内に購入して読んでる、いろんな意味でえらい……)ですし、右隣に座るお姉さんは西尾維新の「戯言シリーズ」を読んでます、左隣に座るお兄さんはこないだ『吸血鬼ハンターD』読んでました。 世には、本を読むことを楽しみとする人が意外に多いのです。 彼らと、しようと思ったら、それなりに本の話もできるでしょう。

 でも、それは、必要以上にリスキーで、こう……ちょっと気が引ける行為です。

 あくまでお仕事ビズでのお付き合いですし。 お仕事ビズお仕事ビズで、価値判断はニュートラルでありたいじゃないですか。 出版関係のお仕事で無い限り「なに? 海外SFを2000冊読んでるだって? それは信用できるヤツだ」なんて台詞聞くのはなんかイヤです。 少なくとも俺はヤだ。

 社会人に「くちさがない本の話」をするチャンスは、なかなかありません。

 ですので、たまになら、キヤイを入れて「本の話すっぞー」ってのはあっていいし、あるとするならその時間は貴重であるし、気持ちいいんじゃねえかなぁ。
 って思います。

 で。
 もう、みなさん大人でしょうから。
 たとえ見も知らない人であっても「本を読んだ」だけの共通点でもっておしゃべりできるし、楽しめると思います。

 つか、俺は楽しむ。
 あとはもう面白いことしかする気はねえよ?
 ってことです。

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 それでは、当日。
 お会いいたしましょう。

2003/08/11 18:19

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