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びっくりした。
思ってた以上にしんどいマンガだなぁ、これ。
たしか去年の11月ぐらいだったと思うけど電話で話したっけ、これのこと。
言外に「変なことになっているぞ?」って含みを持たせながら「最近の『プラネテス』って読んでる?」って話をされたとき俺は単行本の2巻までしか読んでいなかったので「なにが?」って反応しかできなかったけど。 わかったよ。 うん、これはひじょうに「あやうい」感じだ。 もっと言っちゃえば気色が悪い。
今思えばこれに至るまでの布石はちゃんと用意されていて、たとえばハチマキが暗闇の中で独り「自分自身」と向かいあい対話しそれを乗り越えるあたりとかさ。 己の中に在る、己ならざる何者かとの邂逅ってやつ。 このときはまだ「克己」ってヤツの、漫画的比喩なんだろうって思ってた。 『プラネテス』には青臭いところがあるしそれが魅力でもあるし。 「汝、なにものぞ?」「汝、いかに
ハチマキ青年やその周辺の人々、宇宙のそのまた向こうの、遠い遠いところを目指す人々が、それぞれに己の答えを出していくドラマ、それが面白いんだと思う。(対照的なのが『ムーンライトマイル』で、あれは
でもさ、違う。 もう。 なんだろう? これは? 怖い? 薄気味悪い? かな。
月の裏側で独り、比喩でもなんでもなく、宇宙の深遠サマと1週間の二者面談だぜ? 正気じゃねえって。 しかもそれを終えたあとのあのハチマキの面! なにあれ? 聖者? 食欲も性欲も何にもなくて、ただ、「それ」のことを想っている。 だわーっ! 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い! 人間、そんなもんに耐えられるようにはできてねえって! あいつの、ハチマキの目が「いったい何を捉えているのか」それを想うとすごく怖い。 ありゃたぶん、生とか死とか、いや、それも超えた「なにか」を視ようとしてんだ。 たぶんそうだ。 ぜったいそうだ。 嘘だけど。 嘘だといいけど。
でさ、漫画のなかでハチマキが見出したりする答えにいまひとつ納得できないんだよ。
面白くないとは言いたくないが納得できない。
一応、ハチマキはタナベという「ホーム」を見つける。 帰ってこなくちゃならない、大切な理由を見出す。 うん、オッケ―だ、それは、順当だと思う。 答えをだすならそこにしか落とし込めないと、俺も思うよ。
けどさ。
そのタナベの幼年期を、あんなふうに描いちゃうは残酷(いや、正直すぎ、かな?)じゃないか?
言ってみれば、タナベは「もらいっこ」なのだろう? 「ここではないどこか」からの。
タナベは幼い頃、人の領域にはいなかった。 それは、何を意味するのよ?
いやな読み方だけど、宇宙の深遠サマと二者面談するしかなくなった男が妻に娶ったのは、どこか人間外の領域から来た女、って話でいいの? これ? どこのおとぎ話だよ? それは。
読み終わったとき、表紙の、何処ともしれん場所で手をつなぎ微笑む二人の姿が、薄気味悪く、いたたまれなく思えたよ。
今まで自分が何を読んできたのか自信が持てなくなって2巻から読み直すと、違和というか薄気味悪さは解消されてしまったのだけど。
でも。
なんだろ。
どうも納まりが悪いな。
あんたはどう?
たぶん、俺と同じように「何か引っかかった」とは思うんだけど、あのとき、あんたはなにを言いたかったの?
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