きづきあきら『セックスなんか興味ない』1巻
きづきあきら+サトウナンキ『セックスなんか興味ない』1巻 [Amazon]
タイトルが秀逸すぎる。
正しい答えを得るための最良の方法は、あからさまに間違ってみせること、とは誰かが言ってたが、まさしくその通り。
そんな餌でこの俺様が釣られクマ――(ズサー)
久々に買ってみた『うそつきパラドクス』 [Amazon] が大変よろしかったので購入。いやぁ、きづきあきら(+サトウナンキ)はグダグダを描くのが上手いことだなぁ、と改めて感嘆した。
グダグダ、とはつまり各自が抱え込んだ複雑さのこと。セックス、肉体と他人との関係性が絡むのならなおのこと。それぞれが、それぞれの理由によりグダグダ≒複雑なんだろうよ。
複雑は複雑だけど、ケースとしてはありふれているので、個々の複雑性は無視されて一般化される。あるいは、積極的かつ無意識的に無視することが「受け入れる」って心の働きなのかもしれないが。
これは、その個別、複雑さを、ひとつひとつ曝け出してみた、という漫画。複雑さにつきあうのは骨が折れたり、イヤミだったり、億劫だったりするんだが、たまには良いだろ人間だもの、というこれはお話。
きづきあきらの漫画家としての善性は、目を背けたくなるような赤裸々な事実を、表象のうえでは「かわいらしい」と言えるような絵で描き出すことだと思う。
ケースとしてはありふれているけれど、ひとつひとつは複雑で、こういって良ければ露骨なもの。例えば、見合い結婚をしようという太った男と、小太りの女性の裸とか、四十歳もだいぶん過ぎて崩れた女の身体のラインとか、そういうものが、やっぱり「かわいらしい」といっていいような絵柄で描かれていることにギョッとした。この目で見たり触ったりするぶんにはただ「そういうもの」のはずなのに、マンガにされるとなぜかショックだ。「かわいらしい」といっていいような絵柄で描かれてある、ってのが現代性、と言って良いのかもしれない。
稀有なマンガであることだとは毎回思うけど、付き合いつづけるのがしんどいような気もする。毒が薬になるのは少量のときだけで、毒を毒と知りつつ摂り続けるのは退廃が過ぎる。買い続けていない、ってのはそういうことか。1巻のナンバリングがされてあるので、厭いて倦むまで追従してみよう。
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生々しくてすごい漫画すね。
このかわいらしい絵柄のどこに「生」があるんだろうなぁとは不思議に思いますが