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石田敦子 『アニメがお仕事!』1巻 (少年画報社,¥560) [bk1][amazon]

相変わらず、血のしたたるような漫画を描くものだ、と思うた。
アニメ業界青春物語。 貧乏は正しい!
アニメーターを職業として選んだ年若い姉弟(双子)を主人公に、アニメ業界を舞台とした青春群像を描こう、という漫画。
石田敦子さんの描く漫画の例に漏れず、かわいらしい描線で、身を切るような痛みを伴う物語が紡がれる。
読むのがたいへんつらかった。 面白くないわけではないけれども、読んで共感するに、痛々しく、辛いのだ。
読み手の感情を鋭く繊細に、しかし、突き刺す、そういう漫画だ。
アニメ業界を舞台にしているので、業界ならではのエピソードも語られる。
辞めたスタッフへの嫌がらせだの、技術の善し悪しと人間関係からくる軋轢だの、セル画泥棒の話だの。
読んでなるほど、やっぱりな、と思った。 フィクションを真に受けるのはアホだけど「なるほど、それはありそうなことだ」とは思う。
アニメーターといえば「給料が安すぎて食えない」ので有名だけれども、アニメ業界そのものが、もしくはアニメというメディアそのものが、さまざまな種類の「貧しさ」の中で育まれ、いまもおおくが貧しくあり、しかしそのなかでも繁栄と人気とを誇る猛々しい「蛮種」なのだなという認識をさせられる。
主人公の片割れ、弟君が好い。
彼はアニメーターとしての腕はまだそれほどではなくて、自分にあるは情熱と正しさしかないって自覚しているのだけど。 その、もしかすると拙いかもしれない正しさを、迷い無く(もしくは迷いながらも)他人に問うて見せるのがかっこいい。 芯の通った、実のある正しさ。 超かっこいい。 バビッと震えました。
自分の血肉を
笑うやつは
バカだ
好いぞ! まさしく正しさ以外はなんにも持ってねえ若造の言うべきことだ! 貧乏は正しい!
もし、他の人間が描いていたら笑止千番ってぇところだけど、描いているのは「あの」石田敦子。
説得力というか、内実が違う。 石田敦子さんにしか描くことが許されていないだろう漫画だと思う。
続きがたのしみです。
主人公の片割れ、お姉さんのほうも大変よろしいですよ(双子的に「姉」だがかなり「妹」っぽく)。
あのどうやっても色っぽくもない「もっさり感」にグッと来るチョロい奴は、わりといる気がする。
明言しないだけで。
メモ。 ある業種・職種が、そこに関わる者に「熱意」や「愛」を「望ましいもの」ではなく「必須のもの」とするなら、そこにはなにか決定的な欠陥があるんじゃねえのか? とかそう思う。 「熱意」や「愛」の価値はまったく肯定するけど、それとは関係なく「構造的」な欠陥が。 現場だけじゃ変えられないような。
いま買っている月刊マンガ雑誌。
『IKKI』『アフタヌーン』『コミックビーム』『メガストア』『メガストアH』『快楽天』。
『IKKI』でやってるマンガは単行本で一気に読んだほうが面白いと気づいたので3ヶ月前から購入止め。
『アフタヌーン』 腐っても講談社というか、底力あるよなぁと思う。買って、後悔したという記憶がない。 おまけフィギュアは即捨てるけど。
今号の植芝理一の読みきり、連載第1回&2回をくっつけて「読みきり」と称するのはいかがなものか。
『コミックビーム』 発売されたその時買うことにこそ価値がある雑誌。 なに? このライブ感? 10年先には語り草になってそうだ(ということは10年以内にはなくなっていると考えているということだ)。
回収されたり、連載マンガが誤って回数逆に掲載されて、翌月2話連続で載るとかいうハプニングが起こるのにはほんとに感動する。 洒落や揶揄ではなく。
『メガストア』『メガストアH』 とりあえずこれ一冊押さえておけばオッケー的エロマンガ。 コストパフォーマンス高し。 当りが多い。 漫画的にもエロ的にも。
それはそうとして古賀亮一をリアルタイムで読むためだけに買っている可能性なきしもあらず。
『快楽天』 コンビニ系エロマンガの低迷と混乱がもっとも端的に現われている雑誌。 合言葉は「村田レンジが表紙でなくなってから全然つまんない。」
山本弘 『審判の日』 (角川書店,¥1680) [bk1][amazon]

大作『神は沈黙せず』を追補する短編集+αという印象を受けた。 『神は沈黙せず』を楽しんだ人ならば、楽しめると思う。
短編集。 1篇を除く全てが書き下ろしで
の5本を収録。
「作られた世界」が基底旋律で、エドモント・ハミルトンの『フェッセンデンの宇宙』のSF的感動が核になっている、と読める(好きなんだよね)。
俺たちが存在してるこの世界この宇宙は、実は誰か(/何か)に作られたものなんじゃないか? っていう疑惑や疑念が、実際に世界を崩壊させてしまう。 そんな物語が多く印象に残った。
もう書いてる本人が傑作って云っちゃってるw んだけど、「時分割の地獄」は面白かったなぁ。
アイドルとして活躍する人工知能が、自らに芽生えた「殺意」を検証しようとする話だ。
ここで描かれる人工知能描写がとにかく魅力的で、興味深い。
この子がいまこの現在にいないことを悔しく感じた。
人工知能よ、やがてかくあれかし。
かつてSFオンラインに掲載された短編「ミラー・ガール」もそうだったけど、俺は山本弘が描くA.I.のヴィジョンが好きだ。 かくあれかしと思う未来がそこにあってくれるからね。
短編集として俺は楽みはしたのだが、文庫ででてくれると嬉しかったな、というボリュームでした。
この内容で、短編5本1680円はちょっとお高めだと思う。 ファンなら買い、ってところかしら。
関連リンク
御本人のページが一番充実しているのは素晴らしい。
あ、「SF&ホラー短編集」なのか。 そういえばそうか。
「&ホラー」という印象はうけなかったけどw こてこてのオールド・ファッションSFのリライトじゃねえスか。
それと、読むべし! な。
日曜日は佐藤哲也の『熱帯』と川端裕人の『ふにゅう』をそれぞれ半分ぐらいまで読んだ。
佐藤哲也『熱帯』は読んでてて悪寒がしてしまったよ。
こんなデスマーチにゃ絶対関わりもちたくねぇって! (んでも日本のシステム開発って10のうち7か8はこんな感じなんだよな……くわばらくわばら……)奥付の作者略歴をみると「コンピュータ・ソフトウェア会社勤務を経て」とありますな……なるほど……。
合掌!
作中に何度も登場する謎のテレビ番組「プラトン・ファイト」の様式美に爆笑する。 「ウルトラ・ファイト」よろしく、アテナイ郊外でソフィストたちが戦うんだけど、最後はアリストテレスが形而上責めを出して必ず勝つのね。 アリストテレスの形而上責めは感性的経験からは認識することができないので、回避・防御ができない! 笑った。 史上最大の哲学議論大会?
川端裕人の『ふにゅう』は出産と育児にまつわる男たちの物語。 短編集。
ニューヨークに暮らす男が、生まれ来るベイビーに「おい、おまえは本当に生まれて来たいか」って問いかける話 「デリパニ」が良かった。
男は9.11の惨状を目にして、もしかして、こんな時代に命を与えるなんて不憫なことなんじゃないか? って悩むんだな。 それは男が父親になることの不安や悩みでもある。 最終的には、覚悟決めて、それを受け入れるんだけど。 なるほど、彼が最初にした父親の仕事がそれか、というのが気持ちよかった。
なぜか、大島弓子の『バナナブレットのプティング』を思い出してしまった。 生まれるのが怖いという身も知らぬ未来の赤ん坊に、男に生まれても、女に生まれても、生きやすいということは、ないけど、「まあ、生まれてきてごらんなさい。本当にすばらしいものが待っているから」と宣言するあれ。 たしか、この言葉をもって赤ん坊を肯定した女の子は、自分がどうしてこんなことを言うことが出来たのかぜんぜん確信してはいなかったのだけど(「受け入れる」とはそいういうものかもしれない)女の子ならぬ男こそが、この台詞を「実感をもって」言うことができるんなら、たいしたものだよな。 と思った。 『バナナブレットのプティング』から20数年経ってんだしな、そういう受け入れ方だって、あっていいはずだ。 とか、そう思った。
「MIXIの歌 天誅版』
http://www.niji.or.jp/home/mic/mixi_tenchu.mp3
(mp3ファイルへのリンク、音が鳴ります)
を聞きながら。
mixiのマイコミュニティ一覧は、カードゲーム(マジック・ザ・ギャザリングが念頭にあり)のデッキを組むみたいで面白い、と感じる。 なんというか、誰かと勝負したい気分。 勝負ってなんだ? 精神野球?
本棚.org も24dも、欲望の在り方としては同じと感じる。
「自分の構成内容」を晒し、試し、共有しよう。
そのような、意志と志向だ。

今週はマンガの摂取を押さえ、リソースを他へ移してやりたいことをやっております。
それでも、読んではいるけど。
そういえば、最近週間少年ジャンプのマンガを多く読む(単行本を買う)ようになったなぁ。
『武装錬金』『アイシールド21』『デスノート』『スティール・ボール・ラン』
あ、でも4シリーズか。 それでも俺の生涯の中ではもっとも買っている時期だな。
大亜門 『無敵鉄姫スピンちゃん』 (集英社,¥410) [bk1][amazon]
ああ、そうそう大亜門 『無敵鉄姫スピンちゃん』 [bk1][amazon] 面白かったですよ。 可愛らしいマンガだった。
エロジジイとその孫娘とジジイの発明のロボ子が繰り広げるドタバタギャグなんすけど。 ロボ子の目から「ビーム」がでることが一部好事家の間で話題になったみたいw や、たしかにあれはびっくりだった。
ジャンプマンガを臆面も無くパクっておちょくってネタにしてかきまわして担当が怒られて単行本1冊で打ち切り! っつーいかにもジャンプ的な短命ギャグマンガでありました。 たいへんトラディショナルだとすら思われ、見事な討死。 なんか俺はマンガ誌の中で「狂言回し」を引き受けるギャグマンガが好きみたいです。 真顔でやってる隣のマンガ蹴っ飛ばしてなんぼでしょう? とか素で思ってるなぁ。 せめて徒花! 華々しく咲いて散れ! っつうか。
や、今読み返せば、何気にロボ愛には溢れていた。
好きなものをマンガにしょう、ってぇ心意気は感じられたんだ。
マジマジ。
余計なお世話ですが、どこかで生き残ってくれることを祈ります。
あーでも尾玉なみえとニッチの奪い合いになりそう〜。
緑川ゆき 『緋色の椅子』3巻 (白泉社,¥410) [bk1][amazon]

――……
そうだよ
だから
ナギの愚かさを
おれは
嗤えない
終わりましたね緑川ゆき『緋色の椅子』。
あやうく泣かされそうになった
俺、知らずに心が弱ってたのかなぁ。
愚かであったな。
と俺は思います。
俺は緑川ゆきの短編を、特に『アツイヒビ』や『蛍火の杜』で見られた短くも鮮烈な感動を愛しているので、緑川ゆきの長編がどうにもうまく読めません。 うまく読めないというか、「続くべきでない物語が続いてしまっている」という印象を受けてしまうのです。
(『あかく咲く声』もそうでした。
あの、特異な声持つ小僧は犯罪なぞに関わっているべきではなかった。
それほどの声を持つのならば、歌を唄い詩を詠み愛を謳い、世界をデコレイトするべきなのだ。
なにを君は余計なことにかかずりあっている? 怖れず、さっさと幸せになってしまえ!
ずっと、そう思っていました。)
始まりからして既に「悲恋」であるような物語。
始まりからして既に「このままでは誰も幸せになれない」ということが明らかである物語。
そのような印象を、俺は受けていて、だから読むのもなにやら辛く、正直俺はこのマンガの良き読み手であったとは思われません。
この物語の登場人物たる彼ら彼女らは、自分の心持ちや信念を、あまりに自明のものとしすぎていたように思います。 他人の気持ちや想いに対して、真摯であり過ぎたように思います。
裏切れ! 疑え! 不信しろ! そうすれば君らは間違いなく幸せになれる!
読中、何度かそう思ったことです。
思ったところでどうにかなるものではありませんが。
だから、感想は「愚かであったなぁ。」であります。
君たちならば、もっと幸せになれた。
君らは馬鹿者だ。
ということであります。
ただ、俺たちは
賢くあることが常に価値あることではないし、
愚かであることが「ただ愚かである」だけではない瞬間もまたある。
というとを、すでに知っているのですが。
(物語って、そういうもんだと思います。)
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